施工管理職が知っておきたい保険の種類とその特徴
建設現場は、想定外のトラブルや事故が起こる可能性が高いため、労災や賠償をはじめ、建物や作業員を対象とした保険など様々な種類のものが用意されています。ここでは、施工管理職が把握しておきたい保険の種類や特徴をそれぞれ詳しく紹介しています。
また、建設業界での社会保険未加入問題についても言及しています。ぜひ参考にしてください。
建設業界における保険について
建設業界の保険は、大きく分けて協会けんぽと建設国保の2種類があります。それぞれの特長や違いについて、詳しく解説していきます。
協会けんぽ
協会けんぽは、実は略称で、正式には「全国健康保険協会」といいます。健康保険および組合のない企業の保険を引き受けるための組織として誕生した組織で、主に中小企業に勤める方及びその家族が加入できる保険の中でも日本最大の制度です。基本的に、建設国保よりも保障が手厚いのが特徴です。
法人および従業人が常時5名以上いる個人事業所は、協会けんぽに加入するよう義務付けられています。協会けんぽに加入している従業員の保険料は、会社側が折半する必要があります。
建設国保
建設国保は「全国建設工事業国民保険組合」の略称で、個人で建設事業を営業している方や従業員5名未満の個人事務所に勤めている方が加入対象となる保険制度です。
また、「協会けんぽの適用除外」の承認を受けた事業所や法人についても、国保の代わりとして加入することができます。建設国保は複数の団体がありますが、全国で10万人以上の建設業者が加入している「全国建設工事業国民健康保険組合」は最も大きな団体です。建設国保は、被保険者が個人として加入するため、保険料は全額被保険者が支払うことになります。
作業員に対する保険
労働災害総合保険
労働災害総合保険は、給付の対象である従業員が労働災害を被った時に、労災保険の上乗せ給付や損害賠償責任を保障してくれる保険です。定外補償保険と使用者賠償責任保険の2つの補償から成る保険ですが、どちらか片方の契約も可能です。
保険期間は基本的には一年間ですが、土木・建設事業などの有期事業については工事期間に合わせて保険期間を設定することもあります。
建設業の労災保険料は、元請工事額をもとに計算されるのも特徴の1つです。
傷害保険
従業員が仕事中に負った怪我などに関する保障を行うための保険です。業務中だけでなく、業務外に負った怪我についても補償してくれる保険もあります。
建設現場における労災の特徴
建設現場における労災は一般事業とは異なり、現場ごとに元請け会社と下請け会社を合わせて1つの事業体として取り扱うため、個々の下請け会社それぞれで加入することは少ないのが特徴です。現場の労災手続きは原則として元請会社が行い、保険料の納付も元請会社が負う仕組みとなっています。現場作業中に事故が発生して怪我人が出た場合には元請け、下請けの区別なく適応されます。あくまでも現場での作業員を対象にした補償であるため、元請け会社の役員や事業主には適応されません。
発注者から直接工事の仕事を請け負う業者である元請け会社は、建設工事が開始された日から10日以内に、保険関係成立年月日や労働保険番号、事業の期間
事業主の住所氏名、注文者の氏名、事業主代理人の氏名などが記載された保険関係成立届を提出するよう義務づけられています。また、工事中も保険関係成立票を掲示しなければなりません。
労災保険料は、元請工事額をもとに計算されるため現場によって金額が異なるのも特徴のひとつです。
建築物に対する保険
建設工事保険
建設工事保険は、現場での作業中に発生したトラブルや事故によって物や設備が破損した際に適応される保険です。新築、改築、増築などの建物工事はもちろん、配管工事や冷暖房工事、電気配線工事などあらゆる工事が対象になります。補償範囲は、基本的に、「損壊・破損した対象物を元の状態に復旧するのにかかる費用+α」で、上限額は工事の請負額に定められている保険商品が多いです。
建設工事保険は、ひとつの工事のみを補償するスポット契約と、1年間のすべての工事に対して補償する年間契約があり、工事の期間や種類によって選択する必要があります。
土木工事保険
道路の舗装や地面の掘削、トンネル工事などの土木工事を主体とする場合において、自然災害や作業ミスで目的物に生じた損害を補償する保険です。保証期間は基本的に工事着手時から目的物の引き渡しまでの設定で、保険料は対象工事や工事場所、工事期間などによって算出されていますので、工事ごとに異なります。
組立保険
組立保険は、ビルの冷暖房や電気設備、ボイラーなどの機械や橋梁など鋼構造物の据付・組立工事が対象となっています。火災や作業ミスによる、工事対象になる建物の損害を補償してくれる保険です。土木工事保険と同様、工事着手から引き渡しまでの期間設定が基本です。
賠償に関する保険
思わぬトラブルや事故が起こりやすい建設現場では、すんなり解決できずに賠償問題に発展してしまうことも少なからずあります。ここでは、賠償に関する保険について見ていきましょう。
請負業者賠償責任保険
請負業者賠償責任保険は、作業中に発生し、対人、対物事故の賠償責任を補償してくれる保険です。ただし、この保険は作業中の事故によって賠償責任を負ったケースに限られるため、場合によっては賠償対象にならないケースもあります。そのような事態の備えとして、建設工事保険やPL保険(生産物賠償責任保険)も契約してカバーするようにしましょう。
工事賠償責任保険
工事賠償責任保険は、工事中に起こった事故に対する賠償責任を補償してくれる保険です。保険期間は基本的に1年間となっています。
生産物賠償責任保険(PL保険)
生産物賠償責任保険(PL保険)は、工事が終了した後の建物や設備を引き渡した後に発生した対人、対物事故への賠償責任を補償してくれる保険です。工事中の事故の賠償を補償する請負業者賠償責任保険と併用することで、賠償責任の補償範囲を広げることができるので合わせて加入することも少なくありません。契約期間は基本的に1年間となります。
住宅瑕疵担保責任保険
住宅瑕疵担保責任保険は、新築住宅などの引き渡し後10年間に瑕疵があった場合、補修を行った事業者に支払われます。注文住宅や建売住宅のアフターサービスとして付加されていることも多い保険です。
建設業界における社会保険の未加入問題
建設業界における深刻な問題の1つとして、下請け業者や個人業者の社会保険未加入があげられます。建設現場は一般の職場と比較しても事故のリスクや災害の発生など危険が多いことを考えると、いざというときに公的な社会保障が受けられないのは大きな問題です。
日本建設業連合会では、企業単位や労働者単位で、適正な社会保険加入状況の調査・把握を徹底し、社会保険に加入していない労働者の現場入場を認めないことを明示して下請け業者や個人事業主への注意喚起や加入促進を行っています。
現場の作業員が安心して工事を行うために必要
建設現場で起こりうるトラブルや事故のリスクや、高所での作業も少なくない仕事内容を考えると、建設業にまつわる保険は、実際に工事を行う作業員が安心して作業ができ、万が一のトラブルに迅速に対応するために必要不可欠であることがわかります。
保険によって補償内容が異なるため、施工管理者はそれぞれの保険についてしっかりと把握して、幅広い範囲で補償が可能な保険の組み合わせを選択することも大切です。
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